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相続,遺族年金受給権,共同養子縁組などは依然認められない。しかし同性婚については,ベルギーは2003年,フランスは2013年に認められた。 イギリス(イングランド及びウェールズ)では,2004年に,同性カップルに夫婦と同様の権利を与えるためのパートナーシップ登録制度,シビル・パートナーシップ法が制定された。当初,イギリスでも,シビル・パートナーシップ制度は,宗教婚を認めず,生殖補助医療の利用による親子関係や企業年金受給権を認めないなど,婚姻との厳格な差別化が図られていたが,判例や立法により,徐々に婚姻との差異が解消されつつあった。イギリスでは,2004年のシビル・パートナーシップ法,2010年平等法,2013年には同性婚法へと,同性愛行為の非犯罪化,婚姻に類似する地位の保障,婚姻への拡大という着実な展開を見せたことが特徴的である。 オランダでは,1998年に登録パートナーシップ制度が成立したが,同性・異性間でのパートナーシップを認めており,1992年までに41の市町村が登録パートナーシップ制度をもっていたという。その後,2001年に同性婚が公認されることになるが,家族の多様化が進む中で,登録パートナーシップ制度が異性間の関係に対し婚姻以外の選択肢を提供する意義を有し,同性間・異性間の平等化を推進するという意味でも,大きな影響を与えたことが紹介されている。キリスト教的な保守主義も強いオランダで,同性婚が認められた背景には,保守派の後退とジェンダー・フリー・ムーブメント,具体的な保護の必要性の表面化,大衆・政界に訴える強力なチャンネルの獲得があったという。 ニュージーランドでも,同性愛行為は犯罪とされていたのが,1986年から非犯罪化が実現した。1990年権利章典法,1993年人権法で,性や性的指向での差別禁止を定め,2004年シビル・ユニオン法で,同性カップルに婚姻の代替手段としての公的登録と当事者の関係の公認をすることになった。このように,同性愛行為の非犯罪化,差別の禁止,夫婦としての法的権利の一部付与や婚姻と類似の法的地位としてのシビル・ユニオン法から,2013年婚姻(婚姻の定義)修正法により,ニュージーランドは,オセアニア初,世界15番目の同性婚を認める国となった。同性婚の公認により,同性間のシビル・ユ総  括278

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