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ニオンの締結件数が激減し,異性間のカップルが増加しているという。 アメリカ合衆国は,50以上の法域があって,連邦と州の二元的な法体系になっている。アメリカでも,1960年代後半からのゲイ解放運動,1970年代の同性愛者の婚姻許可状発給申立ての訴訟や1980年代からのドメスティック・パートナーシップ制度の導入,1990年代の婚姻保護法(DOMA)の成立,2000年のバーモント州でのシビル・ユニオン法の成立や2004年のマサチューセッツ州での同性婚の公認など,全州的に同性婚が認められるまでには40数年の歳月と法廷闘争,政治過程へのロビー活動等硬軟織り交ぜたセクシュアル・マイノリティの差別撤廃と社会的受容に向けた粘り強い道のりがあった。契約,事実婚,ドメスティック・パートナーシップ,シビル・ユニオン,同性婚という流れは,人種差別,女性差別,性的指向による差別撤廃とダイバーシティー,平等と寛容さを大切にする社会の実現と照応している。 本章の最後では,国際人権法との関係で,同性婚が取り上げられている。1990年以降,2011年の国連人権理事会決議を1つの到達点として,国際人権法の課題として「性的指向・性的自認(SOGI)」の人権が加わることになった。これを後押ししたのが,2006年に採択されたジョグジャカルタ原則であり,国連の公式文書でないにもかかわらず,国連人権施策で活用されているという。また,ヨーロッパ人権裁判所でのシャルク・コップ事件において,同性同士の関係性も,異性のそれと同じく,「家族」に該当するものであり,同様の保護が与えられるべきとの理解を示したことにも触れている。そして,2015年7月に,ヨーロッパ人権裁判所は,オリアリ事件において,同性カップルに,シビル・ユニオンや登録パートナーシップなど法的保護を与えることは,ヨーロッパ人権条約8条の家族生活の尊重の原則から当然に導き出される国家の義務であると判断した。 第2章では,「自治体における同性パートナーシップ制度」に関連して,まず,(仮称)渋谷区多様性社会推進条例制定検討会での主要な論点が取り上げられている。2012年6月の長谷部区議(当時)の質問から始まって,2014年7月に,当時の桑原区長が(仮称)渋谷区多様性社会推進条例制定検討会を設置した。検討会では,条文の全文,骨子などについて,幅広い視点総  括279

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