同パ
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から各委員が案を出しながら,区職員担当者が条文化したものを協議してゆき,最終的な条例案を区長や区議会に報告するという形が採られた。検討会においては,LGBTに対する委員の共通認識の醸成,パートナーシップ条例の提案の経験のある区議,LGBT当事者を参考人としてのヒヤリング,男女平等・多様性というキーワードを確認しながら,パートナーシップ証明書の発行の要件等について議論し,2015年1月に取りまとめ,区長に報告した。 次いで,渋谷区男女平等・多様性社会推進会議での議論につき,特に2015年3月末の条例成立から,11月の制度の実施までの間の状況について触れられている。ここでは,同性パートナーの証明書の発行の最大のハードルである「共同生活合意契約公正証書」「任意後見契約公正証書」が確実な関係性の証明手段として採用されたという。婚姻モデルと契約モデルの対比で,渋谷区の条例がパートナーの証明をするのはあくまでも関係性の合意という事実に過ぎず,与えられる法的効果との関係でも,「任意後見契約公正証書」は不要ではないかという有力な意見があったことが紹介されている。また,当事者アンケートの結果でも,費用や手間暇からも,条件が厳しすぎるとか,利用しづらいとの声が多数あった。証明書発行要件の当事者の年齢・住所,近親者の扱い,関係終了後の扱いなどの検討結果についても丁寧に触れている。 パートナーシップの公正証書については,パートナーシップ契約公正証書とパートナーシップ宣言公正証書の2種類があり,公正証書の意義,手続と費用などの簡潔な説明がなされている。渋谷区では,条例で,原則的には,任意後見契約公正証書の作成も求めている。しかし,条例第10条第2項ただし書の適用により,若いパートナー関係の人たちには,任意後見での代理権の範囲を特定することが困難な事情があるとして,不要とする扱いが可能とされている。また,パ─トナーシップ合意契約書の内容に関しても記載例が示されるなど,わかり易い解説が施されている。 世田谷区における同性パートナーシップの取組についてでは,制度施行前の世田谷区における性的マイノリティに対する取組状況として,行政書式から不必要な性別欄を削除したり,性的マイノリティへの支援を進めていく基総  括280

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