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当事者の年齢を20歳とし,渋谷区への居住,非婚要件,近親婚要件(ただし養子縁組が解消されている後は禁止されない)も課せられ,真摯で責任あるパートナーシップの合意をしていることが求められている。さらには,パートナーシップ証明の申請,解消の場合の取扱い,不正な目的での交付等での取消・返還,具体的書式等についても詳しく取り上げられていて,わかり易い。 これに対して,世田谷区は,多様性や性的マイノリティの人権尊重の基本理念は同じくしつつも,条例によらずに,区長の決裁で可能な「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」で成立させるという簡便な方式である。あくまでも区長に対する宣誓に過ぎず,区長が同性パートナーの気持ちを受け止め,宣誓書の写しに受領印を押して交付する制度である。法的権利義務や拘束力が生ずるものでなく,区は10年間宣誓書を保存するものとしている。宣誓にあたっての確認書,本人確認資料,受領要件,廃棄や再交付,今後の課題についても,具体的な書式を示しながら丁寧な解説が施されていた。 第4章の「政治家・当事者の声と期待」では,渋谷区の長谷部区長により,当事者との出会いがきっかけで,LGBTの人たちの悩みや実情に触れたこと,婚姻届から同性パートナーの証明書の条例の素案を作り,オリンピック・パラリンピック等を開催する国際都市としての渋谷のあり方を考えながら,他の区議と検討会を立ち上げたこと,今回は第1ウェーブにすぎず,第2ウェーブ,第3ウェーブにつながることを期待したいと締めくくっている。 次いで,保坂世田谷区長も,同性パートナーシップ宣誓書の取組について振り返る。世田谷区では,基本構想や基本計画で,多様性の尊重や性的マイノリティへの理解促進を明記しており,2015年11月よりパートナーシップ宣誓書受領証の取組を開始し,受領証を区長が交付したが,この日,保坂区長は,今日の「はじめの小さな一歩」が,やがて「国の法改正や制度改正」につながってくるものと信じているとコメントした。要綱による受領証の交付が第一段階とすると,第二段階として,男女共同参画プラン検討委員会にLGBTの当事者に入ってもらい区としての取組や課題を検討してもらい,国総  括282

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