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政上の取組にもつながることを期待して結んでいる。 また,宝塚市の中川市長も,2015年11月に,「ありのままに自分らしく生きられるまち宝塚」という性的マイノリティ支援の方向性や具体的施策を取りまとめた。宝塚市でも,この基本方針に基づいて,教育・保育現場での全教職員を対象にした研修会や初任者研修等を行ったり,子ども向けの相談窓口の案内カード,児童・生徒への配布,性的マイノリティに関する絵本などの図書の図書室・保健室への配架,市職員の講演会への参加,啓発リーフレットの作成,市民向け講演会,電話相談,世田谷方式でのパートナーシップの宣誓の受領証の交付の要綱の制定など,積極的な取組を展開していた。 渋谷区や世田谷区などの当事者の声として,なかなか差別を恐れ,目立たないようにする方を選びがちで,行政に声を届け出るという気になれないことが多く,家庭,学校,地域,職場など,様々なサービスや支援の対象からLGBTの人たちが排除され,否定的になりがちであることが語られている。そして,支援者の人たちの励ましに背中を押されて,ようやく無名の声なき声で要望書を提出して,渋谷や世田谷では,同性パートナーシップの証明書,宣誓書の受領証など日本での第一歩につながった。自治体に当事者が訴え,自治体がLGBTの人々の存在を認知し,企業や地域社会も鋭敏な反応をし始めたことで,自治体から企業・国へという大きな流れに期待が寄せられている。 ところで,セクシュアル・マイノリティの人々は,かなり小さなころから,周りの理解が得られず,自分自身に違和感を感じたり,不安や緊張に苛まれたり,自己肯定感がもてずに苦しむことが少なくない。大人になってからも,家族・友人・知人,学校,地域,職場などで強い差別・偏見・無理解などに晒され続け,まともな人間として見られず,その存在すら否定され続けているという厳しい社会的現実と山のような困難を抱えて生きている。本書は,このようなLGBTの皆さんが直面している現実への共通認識から出発して,諸外国の同性パートナーシップの取組や経験,渋谷区や世田谷区での同性パートナーシップ証明制度の生まれた経緯,主要な論点,制度運用の工夫と実際,自治体の首長・政治家のリーダーシップ,当事者の声や自治体への働総  括283

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