ハラ対
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(ⅰ)セクシュアル・ハラスメント判決内容特記事項X・Yらともに上告したが,原審判決が維持された。237Y1→X1:慰謝料200万円,弁護士費用20万円。Y1→X2:慰謝料30万円,弁護士費用3万円。Y3→X1:Y1のセクハラに対する慰謝料200万円,Y3固有の不法行為による慰謝料50万円,未払賃金相当損害金339万円,逸失利益799万円,弁護士費用(Y1につき20万円,Y3につき140万円)。Y3→X2:Y1のセクハラに対する慰謝料30万円,Y3固有の不法行為による慰謝料50万円,未払賃金相当損害金356万円,逸失利益914万円,弁護士費用(Y1につき3万円,Y3につき130万円)。Y3の責任について,セクハラ問題の事情聴取において,役員らはXらの訴えの真偽を公平な立場で聞く姿勢に欠け,翌日の処分はY1の行為の事実確認が不十分なまま行われ,しかも両名に対する処分はY1よりも重いものであり,違法なものであること,Xらが役員に訴え出た行為は就業規則の制裁規定列挙の非違行為のどれにも該当せず,また2回の減給処分は労基法第91条に違反すること,Y1の行為・言動を放置し,原告らが職場に復帰できなくなるまでに職場環境が悪化することを放置したことを指摘し,Y3の行為は全体として一個の不法行為を構成するとした。Y1:慰謝料130万円,弁護士費用15万円。Y2:慰謝料50万円,弁護士費用5万円。Y1の責任について,上司と部下という社会一般の間柄にすぎないのに,Xの心情を全く慮ることなく,著しい性的言動に及んだ事案というべきであること,Y1の一連の所為は,その態様に鑑み,恋愛関係にない異性が許容することが一般に想定し難い内容であり,明確な拒否の有無にかかわらず,相手方の性的自由を侵害する不法行為に当たるとした。Y2の責任について,公的機関から社内のセクハラの存在を示唆され危急の事態を迎えていたにもかかわらず,社内会議の場で出席者にパンフレット等を配付し一般的な注意を与えるなど通り一遍の措置をとったにすぎず,その出席者であるY1が数か月のうちに露骨なセクハラを慰謝料120万円,弁護士費用18万円。行為の違法性の判断について,「行為の態様,行為者の職務上の地位,年齢,被害者の年齢,婚姻歴の有無,両者のそれまでの関係,当該言動の行われた場所,その言動の反復・継続性,被害女性の対応等を総合的にみて,それが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には,性的自由ないし性的自己決定権等の人格権を侵害するものとして違法となるというべき」との基準を提示。Y1・Y3:慰謝料50万円,弁護士費用5万円。Y2:慰謝料100万円,逸失利益524万3535円,休業損害14万3768円,治療費5万9665円,弁護士費用65万円。Y2の行為については,上司としての立場を利用した事情は窺えず,Y2の個人的な行動であるとして,使用者責任を否定。Y2によるXらに対する言動(再婚をしないのか,子どもはまだか等)は,不快感を持つものであるとしても,違法行為とは解せないとした。

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