ハラ対
5/42

第2版 はしがきi 本書の初版は,第二東京弁護士会の両性の平等に関する委員会において執筆し,2016年11月に公刊されました。 豊富な参考裁判例や,実務において役立つと思われる,通知書や示談書などの文例が好評で,多くの方々にご利用頂いております。 初版から現在に至るまでの間に,労働施策総合推進法が改正されました。この法改正により,パワー・ハラスメントの定義や,国,事業主及び労働者の責務が,法律上,明確になりました。 また,近年,LGBTQと総称される性的マイノリティに関する裁判例も出され,性的マイノリティの問題に対する社会の認知も高まっています。現在では,性的指向や性自認に関して行われる嫌がらせ,差別的言動等は,セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメントに該当することが厚生労働省のセクハラ防止指針やパワハラ防止指針でも明らかにされています。 第二東京弁護士会の両性の平等に関する委員会では,これらのLGBTQに関する問題についても取り扱うようになってきました。そのようななかで, 男女二つの性しか存在しないこと,男女平等の問題しか取り扱わないことを前提としているかのように受け取られかねない,「両性の平等」に関する委員会という名称に違和感を覚える委員も増え,委員会名称変更の手続きを行い,2023年6月からは,委員会の名称は「全ての性の平等に関する委員会」となります。 残念ながら,現在に至るまでに,性差別が全て解消された,男女平等を含む全ての性の平等が実現されたとはいえない状況にあります。 それでも,パワハラ防止指針等,国もハラスメントを許さないことを明確にし,声を上げる被害者も増えて,社会的にも,嫌がらせや差別的言動等のハラスメントを許さない,あらゆるハラスメントを根絶しようという機運は高まっているように感じます。第2版 はしがき

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る