ハラ対
8/42

初版 はしがきiv55.9%,女性38.1%と,男性が多いものの女性からも行われていることが分かりました。 本書では,被害者から相談を受けた場合の対応について主に述べていますが,実際には,ハラスメントの被害者が弁護士等に相談し,加害者や事業主に慰謝料等の損害賠償を求めることには相当の勇気が必要であり,結果として,幾ばくかの金銭が支払われ,加害者が処分されたとしても,それと引換えに,被害者が仕事を失ったり,職場に居づらくなっては元も子もありません。被害者の一番の希望は,今後同様の被害に遭わずに安心して仕事を続けられることであり,ハラスメントの相談を受けた事業主は,加害者に対する処分という個別対応に留まらず,被害者が精神的負担を感じることなく仕事をできる環境を整えること,今後二度とハラスメントが生じないよう,ハラスメントを認容するような社内の文化や体質等を省みて改善することが必要です。 当委員会では2001年に「セクシュアル・ハラスメント法律相談ガイドブック」を出版していますが,本書は,その後の社会情勢の変化も踏まえ,セクハラのみならず,パワハラ,マタハラ,アカハラ等の昨今問題となっているハラスメント類型もカバーした新しい手引書として刊行することとしました。当委員会の委員の知識・経験を結集し,被害者及び事業主がとるべき対応から,各種のハラスメントに関する参考裁判例に加え,内容証明郵便や示談書などの実務において役立つと思われる文例を充実させました。マタハラ,アカハラについては,当委員会主催の定例研修において講演いただいた広島大学ハラスメント相談室の北仲千里准教授及び第二東京弁護士会所属の橋本佳代子弁護士にもコラムの執筆のご協力を得ることができ,第一線で活躍されているお二方の貴重な知見を賜りました。 職場におけるハラスメントの被害者を救済するとともに,将来のハラスメントを防止するための一助として,本書をご利用いただければ幸いです。 2016年11月 第二東京弁護士会両性の平等に関する委員会委員長 横 山 佳 枝

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る