例3(注)上記のほかに,種々の財産管理人の選任,人身保護請求も,実質,保全手続に該当する。で考慮すべきか,保全手続は迅速性が重要であるが実際に決定が出るまでどの程度の期間を要するか,地域差があるか,不服申立方法はどのようになっているか,保全の執行は期間制限があるのか,保全類似の手続との実際の違いはなにか(例えば,子の引渡し請求の保全申立てと人身保護請求)等である。保全手続を行おうとする際に,まず,その本案事件が,民事訴訟事件,人事訴訟事件,家事審判事件のいずれであるか,本案の手続が,民事訴訟手続か,人事訴訟手続か,審判手続であるかを明確に区別しておく必要がある。以下では,家事事件手続法による審判前の保全,人事訴訟法による保全(以下,「人事保全」という。),民事訴訟法による民事保全の順にとりあげる。なお,財産分与請求事件はあくまで審判事件の性質を有するが,離婚前の財産分与請求の保全については,本案が人事訴訟の附帯処分であるため人事保全手続である。離婚に伴う慰謝料請求事件についても,その性質はあくまで民事訴訟事件であるが,離婚訴訟に併合する場合の慰謝料請求の保全手続は人事保全手続であり,本案は人事訴訟である。なお,審判前の保全の中で,保全手続ではないが,調停前の処分についても述べる。第1 はじめに図 家事事件の保全手続本案事件の手続保全手続保全の管轄裁判所家事審判手続婚姻費用分担請求子の引渡し請求財産分与請求(離婚後や事実婚の離婚の場合),親権停止 等審判前の保全(調停前の処分)(家事事件手続法,準用する民事保全法による)家庭裁判所人事訴訟手続財産分与請求(離婚前)離婚の慰謝料請求人事保全(人事訴訟法,民事保全法による)家庭裁判所民事訴訟手続損害賠償請求特定物の返還請求遺留分侵害額請求,遺留分減殺請求遺産確認の訴え 等民事保全(民事保全法による)地方裁判所人訴17条の関連損害賠償請求事件の場合,地方裁判所・家庭裁判所双方
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