4 手続の特徴6)金子『一問一答』114頁ないし116頁,173頁ないし175頁,金子『逐条解説〔第2版〕』430頁,431頁。⑴ 申立人の疎明義務と裁判所の職権調査6)◦財産の分与に関する処分(同項4号)◦親権者の指定または変更の審判事件(家事175条1項)◦扶養の順位の決定およびその決定の変更または取消し(家事187条1号)◦扶養の程度または方法についての決定およびその決定の変更または取消◦遺産の分割(家事200条1項)◦特別の寄与(家事216条の5)審判前の保全処分は,暫定的なものであり緊急性が高いこと等の性格上,本案の審判とは異なり,裁判所の心証の程度が証明の程度に至らなくても疎明の程度を満たせば良い(家事109条1項)。家事審判手続では,裁判の判断の基礎とする資料の収集を裁判所が自ら職権でしなければならないとする職権探知主義が採られている(家事56条1項,258条1項)。当事者には事実の調査および証拠調べに協力するものとするとの規定が置かれているのみである(家事56条2項,258条1項)。しかし,緊急性が高く,迅速処理が強く要請される審判前の保全処分の手続においては,申立人に保全処分を求める事由についての疎明義務が課されている(家事106条2項)。もっとも,裁判所も,必要な事実の調査や証拠調べを職権で補充的にすることができる(家事106条3項)。疎明義務が果たされていないとして申立人の資料のみで判断し却下してしまっては,申立人の地位の保護や,子の利益の保護に欠けたりする場合など,裁判所の後見的機能に反することも考えられるからである。し(同条2号)第2 審判前の保全処分7
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