7_家事執
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4)金子『逐条解説〔第2版〕』429頁。42家庭裁判所(本案の審判事件が高等裁判所に係属している場合は高等裁判所)が婚姻費用分担の審判を本案とする保全処分を命じるための要件は,以下のとおりです(家事157条1項2号)。ア 本案の係属婚姻費用分担の審判あるいは調停が家庭裁判所等に係属していることが前提となります(家事157条1項2号)。イ 本案認容の蓋然性保全処分においては,本案が認容される蓋然性が必要です。本ケースの場合,夫と妻の収入,夫が婚姻費用を支払っていないこと,妻が2人の子どもを抱えて生活していること等を主張し,それらを疎明する資料を提出することになります。ウ 保全の必要性保全処分においては,「強制執行を保全し,又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するため必要がある」ことが必要です(家事157条1項2号)。夫が婚姻費用をまったく支払っていない本ケースの場合,妻と子ども2人の生活が困窮していることが窺われますが,保全の必要性について争いがある場合は妻の資産を示す資料(預金通帳など)や妻の稼働能力を示す資料(診断書など)等,保全の必要性を裏付ける疎明資料を提出することになります。ウ 申立ての趣旨審判や調停申立ての場合と異なり,求める保全処分の内容は相当程度具体的に明示する必要があるため4),申立ての趣旨には下記のように仮払いを求める金額を具体的に示すことになります。「相手方は申立人に対し,婚姻費用の分担として,令和○年○月から本案審判が効力を生ずるまでの間,毎月○日限り,月額○円を仮に支払え」婚姻費用の仮払いの仮処分(仮の地位を定める仮処分)の場合,原則として⑵ 審理手続

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