3 本書の使い方が見たときに,どういう理由から作られたのかが理解できる信託契約書でなければ,類似事案に応用することができないからです。本書では,信託法の条文を大切にして,信託法の規定に基づいた信託条項を作成することを意識しています。そのため,本書の信託契約書例を丁寧に見ていけば,信託法の基礎が理解できるようになっています。 まず,第1章の「民事信託の基礎」を最後まで読んでください。「民事信託の基礎」では,信託法その他の条文を引用していますが,まずは,条文に当たらず,最後まで一気に本文だけを読んでいただきたいと思います。そして,民事信託のイメージを掴んでください。 次に,第2章の「民事信託の実務」を読み,弁護士として,どのような業務を行えばよいか,民事信託の分野を業務とする場合には,どのようなことに留意し,注意しなければならないかを確認してください。 さらに,民事信託に関する弁護士業務の中で一番取り組みにくい信託契約書の作成方法を,第3章以下で確認してください。 信託契約書の作成方法については,まず,第3章の【基本事例】(高齢者の財産保護)に関する解説を読み,信託法の基本的な条文,信託法の体系,信託契約書の条項例を確認してください。 その後,実際に,信託契約書を作成しようとしている事案に近いものを,第4章の各事例から選び出し,その信託契約書例を参考にして,信託契約書の作成に取り掛かってみてください。 ただ,ここで紹介した【基本事例】と【事例1】から【事例16】までの信託契約書は,あくまでも例にすぎません。実際に,信託契約書を作成する場合には,これらの信託契約書例を参考に,具体的な事案に合わせてアレンジして利用してください。2 序 章
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