第1章1 はじめに2 信託の基本的な仕組み1)信託法2条4項 我々にとって,「信託」は分かりにくい仕組みである。そこで,「信託」という制度を理解してもらうため,はじめに,信託の基本的な仕組み,法的構造,特徴などを簡単に説明したい。 なお,本章においては,信託法等の条文を引用している箇所もあるが,敢えて,条文を確認することなく本章を最後まで一気に読み,「信託」とはどういう仕組みかというイメージを掴んでもらいたい。⑴ 主体─三当事者ア はじめに 我々が民法を学ぶ際には,基本的に,権利者と義務者という二当事者を前提にしていた。そのため,我々が法律を考えるときには,基本的に,二当事者を前提に法律関係を組み立ててきた。 ところが,信託では,初めから三当事者を前提としている。三当事者が登場する点が,信託の理解を難しくしている。 信託におけるこの三当事者は,①委託者,②受託者,③受益者と呼ばれている。イ 委託者 信託をする主体を委託者という。1)委託者は,信託によって実現しようと2 信託の基本的な仕組み 3民事信託の基礎
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