5_信託書
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2)信託法2条5項3)信託法29条から37条4)信託法2条6項する目的(信託目的)のために,自らの財産(信託財産)を受託者に預けるのである。 委託者は,自らの意思どおりに信託財産が管理または処分などされるようにするため,各種の監督権限を有している。ウ 受託者 委託者から預けられた財産(信託財産)を管理または処分などする義務を負う者を受託者という。2)受託者は,委託者が定めた方針(信託行為)にしたがって,預かった財産の管理または処分などを行う。 受託者は,自己の名義で財産を管理または処分などを行うため,その権限の濫用または逸脱が懸念される。そこで,信託法では,この受託者の権限の濫用または逸脱をどのようにコントロールするかが一番重要な課題となり,受託者には善管注意義務や忠実義務など多くの法的義務が課せられている。3)エ 受益者 受益者とは,受託者から信託財産に係る給付を受ける権利などを有する者をいう。4)信託は,この受益者に利益を与えることを目的として設定される。 受益者は,自らの利益を守るため,受託者を監視,監督する役割を担っている。権限の濫用または逸脱をしやすい受託者を監視,監督する第一次的な地位にあるのは受益者である。オ 信託当事者の組み合わせ─信託の類型 これらの委託者,受託者及び受益者の三者の組み合わせによって,いくつかの信託の類型が考えられる。(ア)他益信託 信託の基本類型は,この信託の三当事者が全く別の人格である場合である。委託者,受託者及び受益者がそれぞれ別人格である場合を他益信託という。4  第1章 民事信託の基礎

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