5_信託書
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(エ)受託者と受益者の兼任 信託法では,受託者と受益者を同一人が兼ねることも許容されている。しかし,前述のとおり,受益者が受託者を監視,監督することが信託法の基本的な考え方であるため,受託者が受益者のために信託財産を管理または処分などするという信託の構造が認められないことから,受託者と受益者を同一人が兼ねることには1年間という期間の制限がある。6) ただ,この期間制限内であれば,受託者と受益者を同一人が兼ねることが認められるため,委託者,受託者及び受益者が同一人という信託の類型も認められないわけではない。⑵ 客体─信託財産 信託は,委託者が有していた財産を受託者に預け,受託者が受益者のためにその財産を管理または処分などすることを本質とする。この受託者に預けられる財産を信託財産という。7) 信託財産の種類には,原則として制限はない。金銭的な価値があり,委託6)信託法163条2号7)信託法2条3項6  第1章 民事信託の基礎委託者委託者委託者=受託者=受益者委託者=受託者受託者受益者受託者受益者

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