5_信託書
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8)本書91頁コラム「信託財産に関する盲点」参照9)信託法2条2項1号・3条1号10)信託法2条2項2号・3条2号11)信託法2条2項3号・3条3号12)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律11条1項1号,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律5条1号,会社法27条1号者から移転することが可能な財産であれば,信託財産になり得る。具体的には,金銭,動産,不動産,株式などを信託財産とすることが多い。8) 信託財産について1つ注意しなければならないのが,信託財産となり得るものは積極財産だけということである。消極財産は信託することができない。委託者が負担している債務を受託者へ引き継がせたい場合には,信託契約とは別に,債務引受契約をしなければならない。⑶ 法律行為─信託行為 信託を設定するための法律行為を信託行為という。 信託行為には,①信託契約,②遺言による信託と③自己信託(信託宣言)の3種類がある。 信託契約9)は,委託者と受託者の合意によって成立する。 遺言による信託10)は,委託者の単独行為であり,民法の遺贈に関する規定が類推適用される。 自己信託(信託宣言)11)は,前述のとおり,委託者と受託者を同一人が兼ねる信託の類型である。自己信託(信託宣言)も,委託者の単独行為であるが,財産の隠匿などの弊害を予防するため,公正証書その他の書面または電磁的記録によって意思表示を行わなければならないという要式性が求められている。⑷ 法律目的─信託目的 信託行為を行う場合には,信託目的を定めなければならない。信託目的とは,委託者が信託を設定することによって達成しようと目指している基本的な目的をいう。 一般の法律行為を行うには,目的を定めることが要件とはなっていないが,法人を設立する際には設立目的を定めることが要求されている。12)この点で,信託という仕組みを作るということは,法人の設立に近い法律行為だと2 信託の基本的な仕組み  7

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