イ 財産承継のタイミング 遺言は,本人が死亡したときの財産の承継方法を定めるものである。 他方,信託契約や自己信託(信託宣言)による場合には,その信託行為の定めによって,本人の死亡時ばかりではなく,本人の生前16)や死後の財産の承継方法も定めることができる。 例えば,自宅不動産につき,本人の死後には後妻に当該自宅不動産の使用を認めた後,その後妻の死後には,後妻と血縁関係がない先妻との間の実子に当該自宅不動産を取得させることも可能となる(【事例2】(後妻と実子との間の利益調整─後継ぎ遺贈型の受益者連続信託の活用1)110頁参照)。ウ 財産の承継方法 遺言では,被相続人の死亡時に,相続人は遺言で定めた財産を一括して承継する。 他方,信託契約や自己信託(信託宣言)を利用する場合には,信託行為に定めることによって,信託財産を受益者へ一括で承継することも,分割して承継することもできる。16)信託を利用し,本人の生前に財産の承継を行う場合は,贈与に類似することになる。4 信託制度の概要 11委託者委託者=受益者受益者の死亡により第二次受益者が受益権を取得受託者受益者第二次受益者
元のページ ../index.html#37