5_信託書
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2 検 討30  第3章 信託契約書の基本事例解説1)平成27年1月から12月までの成年後見関係事件の概況によれば,親族が後見人等に選任される割合は約29.9パーセントになっている(最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」(平成27年1月から12月まで)。  http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20160427koukengaikyou_h27.pdf⑴ 後見制度の利用の可否 高齢者の財産を保護する制度としては,法定後見制度,任意後見制度が考えられる。 法定後見制度のうち,後見は「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(民法7条),保佐は「事理を弁識する能力が著しく不十分である者」(民法11条),補助は「事理を弁識する能力が不十分である者」(民法15条)が対象となる。相談者Xは,判断能力が少し落ち始めている程度であり,このうち補助の利用が考えられる。しかし,補助では,補助人に代理権を付与することはできるが(民法876条の9),本人に財産管理の権限は残されており,本人が詐欺等の被害に遭う危険性はなくならず,相談者Xの希望を叶えることはできない。 また,任意後見制度は,本人が「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況」(任意後見4条1項)にある場合に利用できるので,相談者Xの場合もその利用を検討することになる。しかし,任意後見制度では,受任者に財産管理に関する代理権を与えるだけであり,本人に財産管理の権限は残存している点は補助と同様である。そのため,本人が不当な契約を締結してしまう余地は残されており,相談者Xの希望を叶えることはできない。⑵ ランニングコストの問題 法定後見制度を利用した場合,後見人,保佐人または補助人に親族が選任されるならば,それらの者から報酬を請求されることは少ない。しかし,後見人等に親族が選任されることは確実でなく,裁判所の判断によって専門家の第三者が選任される可能性がある。1)専門家が後見人等に選任された場合,その者から報酬を請求されることになる。その額は,本人の保有資産額にもよるが,月額3万円から5万円ということもあり得る。

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