4 信託条項の検討⑴ 信託目的ア 意 義 信託目的とは,委託者の立場からすると,信託の設定によって達成しようとする基本的な目的であり,また,受託者の立場からすると,信託財産を管理または処分等を行う際の判断基準となる。イ 信託法の規定(ア)はじめに 信託法において,「信託目的」は,信託の定義規定(信託法2条1項),受託者の権限の範囲を定めた規定(信託法26条),信託法の終了事由(信託法163条1号)などに規定されている。(イ)定義規定 信託の定義規定(信託法2条1項)には,信託とは,①信託契約,②遺言による信託または③自己信託(信託宣言)のいずれかの方法によって,特定の者(=受託者)が一定の目的(=信託目的)に従って信託財産を管理または処分及びその他の当該目的(=信託目的)の達成のために必要な行為を行うものであると定義されている。(定義)信託法2条1項 この法律において「信託」とは,次条各号に掲げる方法のい(信託の方法)信託法3条 信託は,次に掲げる方法のいずれかによってする。 一 特定の者との間で,当該特定の者に対し財産の譲渡,担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法 二 特定の者に対し財産の譲渡,担保権の設定その他の財産の処分をする旨ずれかにより,特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。【基本事例】 4 信託条項の検討 33
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