本書は,ひまわり信託研究会の弁護士が執筆した信託契約書式集である。本書には3つの特徴がある。 第1に,単に信託契約書式を寄せ集めただけではなく,信託法に基づいて体系的に書式を配列している。信託契約書式から信託制度を理解しようとする創意と工夫がこらされているのである。 第2に,従来あまり活用されることのなかった民事信託の契約書作成事例を具体的に叙述している。民事信託の活用事例の重要なもののほとんどが網羅されているのである。 第3に,弁護士自らが信託関係人に選任されることを前提とした信託契約書式が一書にまとめられている。弁護士が信託業務を実践しようとする気魄がこもった書物となっているのである。 本書を中心となって執筆した伊庭潔弁護士,伊東大祐弁護士は私が主宰する民事信託研究会のメンバーであり,信託業務への弁護士の参入が必須であることを折に触れて主張される様子を拝見してきた。お2人の思いはひまわり信託研究会の設立として具体化され,それはさらに本書として結実したのである。本書は,執筆者の信託業務への強い意欲がほとばしるまさに筆力雄勁の書となっている。 伊庭弁護士は私がいずこかで行った信託制度に関する講演を聞き,さらにもっと深く信託法の勉強をしたいと私に申し出てきた篤学の士であり,中央大学の学部・大学院の学生に交って私の講筵に列した受推薦の辞 i推薦の辞
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