5_信託書
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 信託法26条では,受託者の権限が信託目的の達成のために必要な行為に限定される旨が規定されている。 受託者の権限の主なものとしては,①管理行為,②処分行為,③権利取得行為,債務負担行為,④訴訟行為などが挙げられる。 受託者がその権限に属しない行為を行ったときには,原則として,受託者の固有財産に効果が帰属することになる。 しかし,受託者の行為がその権限の範囲内にあると信用した相手方を保護する必要がある。そこで,相手方が受託者の行為が信託財産のためにした行為であることを知っていた場合には,受託者の権限外の行為であったとしても,その行為の効果が信託財産に帰属することになる。 ただし,相手方が,受託者の行為がその権限に属しないことを知っていた場合または知らなかったことに重過失があった場合には,相手方の保護を考える必要はないため,受益者が受託者の行為を取り消すことができるとした(信託法27条1項)。34  第3章 信託契約書の基本事例解説 三 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的,当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法(ウ)受託者の権限(受託者の権限の範囲)信託法26条 受託者は,信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。ただし,信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

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