5_信託書
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ア 信託監督人及び受益者代理人の意義,信託法の規定並びに検討事項100  第4章 信託契約書の作成事例(新受益者代理人の選任等)信託法142条1項 第62条の規定は,前条第1項において準用する第56条第1項各号の規定により受益者代理人の任務が終了した場合における新たな受益者代理人(次項において「新受益者代理人」という。)の選任について準用する。この場合において,第62条第2項及び第4項中「利害関係人」とあるのは,「委託者又は受益者代理人に代理される受益者」と読み替えるものとする。⑻ その他の検討が必要な条項─信託関係人については,【基本事例】(高齢者の財産保護)71頁を参照。イ 本事例の検討(ア)受益者代理人の選任 本事例では,相談者Xが高齢となっていること,子どもAが障がいを持っている事情があることから,条項例においては受益者代理人の指定の定めを設けているが,ケースによっては,子どもAが受益者となった場合にのみ受益者代理人を設けることも考えられる。(イ)後継受益者代理人の選任 本事例のように,長期間にわたって信託が存続することが想定される場合,受益者代理人において任務を遂行し続けることが不可能あるいは困難になる可能性もある。 そうした事態に備えて,信託行為において後任の受益者代理人を定めておくことや,後任の受益者代理人の選任方法を定めておくこともできる(信託法142条1項,62条1項参照)。 また,受益者代理人は,信託行為に別段の定めがなければ,委託者及び受益者の同意を得るか,やむを得ない事由があって裁判所の許可を得るかをしなければ辞任できない(信託法141条2項・57条)。 そのため,本条項例においては,受益者代理人が新たな受益者代理人を選任し,新受益者代理人が就任した場合には,受益者代理人は辞任できるとする別段の定めを設けた。

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