平成18年に,信託法が全面的に改正された。信託法が新しくなり,信託が国民の身近なものになると期待されたが,十年を経た今でも,未だに信託が普及したとは言えない状況である。 そこで,民事信託の普及を目指し,実務家,特に弁護士が民事信託に関心を持った際に手に取ってもらいたいと考え,本書は企画された。そのため,民事信託に関し,我々弁護士が知りたい内容だけを選び出し1冊にまとめている。民事信託を業務の一つとしたいと考えている方々には,是非,この本のエッセンスを身に付けてほしい。 本書は,東京弁護士会の遺言信託研究部に所属する弁護士有志で結成された「ひまわり信託研究会」のメンバー8名で執筆している。「ひまわり信託研究会」は,伊東大祐弁護士を中心に,信託の研究だけでは飽き足らず,さらに実践を行いたいとの意気込みがある弁護士が集まった研究会である。本書は,「ひまわり信託研究会」の各メンバーの経験や知識を持ち寄り,議論を重ねたうえで,一定の成果をまとめたものであり,民事信託の実務に精通している「ひまわり信託研究会」のメンバーならではの内容になったのではないかと自負している。 ところで,伊東大祐弁護士とは,平成25年に神戸で開催された日本弁護士連合会第18回業務改革シンポジウムにおいて「民事信託」をテーマとして取り上げた際に,知り合った。お互いに信託に強い関心があったこと,高齢の柴犬を飼っていたことから意気投合し,それ以来,親しくさせていただいている。仮に,伊東大祐弁護士のまめちゃはしがき iiiはしがき
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