裁算
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6 序 章 民事手続法における裁判費用⑷ 手数料額を決める機関 手数料額を決定する権限を有するのは,民訴費用法別表第1の上段の申立てに関しては,訴状,上訴状の送達前は,訴状または上訴状の形式的審査を担当する裁判長であり,訴状送達後は受訴裁判所である。もちろん,受訴裁判所は,裁判長が適正と認めた手数料額に拘束されないし,上訴裁判所は原裁判所の判断に拘束されない。7) 手数料の納付を要する申立書は,通常,裁判所書記官に提出されるが,申立書を接受した裁判所書記官は,訴額の算定および訴額に応じた手数料額の収入印紙の貼付があるかどうかを調査し,過誤があると判断するさいは原告に補正を促すとされている。裁判所書記官と原告の見解が異なり,原告が補正に応じない場合には,迅速に裁判長の見解を示す措置が執られるべきである。収入印紙の過貼が明らかなときはこれを書類から剥ぎ取って納付者に返還し,その箇所に受領印を求めることとされている。8)⑸ 納付方法 手数料の納付の方法は,訴状その他の申立書または申立ての趣意を記載した調書に収入印紙を貼付してする方法である(民訴費8条本文)。ただし,最高裁規則で定めるところにより現金をもって納付することができる(同条ただし書。民訴費規4条の2第1項は,現金納付ができるのは納付する手数料額が100万円を超える場合と定めている)。 収入印紙は郵便局,郵便切手類売りさばき所において売り渡されると,印紙額相当の金員が国に支払われたことになるが,それのみでは,手数料の納付があったことにはならず,収入印紙を貼付した申立書が裁判所に提出されたとき,または申立ての趣意を記載した調書に収入印紙を貼付したときに手数料の納付が行われたことになる。⑹ 過納手数料の還付 手数料が過大に納められたときは,裁判所は,申立てにより決定で,過〔12〕〔13〕〔14〕27条;家事手続30条)。6)6)これらの法律が国庫において立て替えるという場合,これは当事者がすべき給付を国が当事者に代わって立て替えるというものではなく,本来裁判所がその名においてすべき給付である。内田編・解説197頁注⑶参照。7)大判大正8・10・9民録25輯1777頁参照。8)民事訴訟費用研究190頁。

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