4 訴額法の役割とその重要性〔15〕序 章 民事手続法における裁判費用 7大に納められた手数料の額に相当する金額を金銭で還付しなければならない(民訴費9条1項)。 民訴費用法別表第1,第2に掲げる場合ではないのに手数料名下のものが納められ,またはこれらの各条に定める額を超えて手数料名下で納められた場合,過大に納付された手数料に相当する額は法律上の原因を欠くものであるので,裁判所は過大納付となった事情のいかんを問わず,申立てにより過納手数料を還付しなければならない。 民訴費用法9条3項は,同項1号から5号に掲げる申立てについてそれぞれ当該各号に定める事由が生じた場合,裁判所は申立てにより,決定で,原則として,納められた手数料の額から納めるべき手数料の額の2分の1の額(その額が4千円に満たないときは4千円)を控除した金額の金銭を還付しなければならないことを定める。たとえば,訴えに対し,裁判長による訴状の却下命令,不適法でその不備を補正することができない訴えを却下する判決(民訴140条),手形訴訟によることができない請求について提起された手形訴訟の訴えを却下する判決が確定した場合,原告は手数料の一部の還付を申し立てることができる。最初にすべき口頭弁論の期日の終結前に訴えが取り下げられた場合にも,同じように還付申立てをすることができる。⑴ 手数料と国家の権利保護義務 以上のように,当事者が訴えや上訴の提起など裁判所に一定の申立てや申出をする場合に,裁判所は無料で手続を開始するのではなく,一定の手数料の納付を当事者に求める。したがって,当事者としては,手数料をいくら支払うべきかを事前に確実に知ることができなければならない。手数料の額が法律により定額で定められている場合には,納入すべき額は明確であり,当事者はその額を納入すればよい。また,訴えや各種の申立て・申出のさい納入すべき手数料を訴額を基準に算定すべきものと定められている場合にも,一定額の金銭支払請求のように具体的に訴額が明確である場合には,訴額の算定においてさほど問題は生じない。しかし,金銭支払請求以外の訴訟においては,訴えや申立てを提起し,または申出をしようとする当事者にとって,裁判所に納入すべき手数料額が明確にならないこ
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