農承
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や手続の煩雑さが改善されることとなりました。これをもって相続登記がなされないこと等により発生した所有者不明農地は、長期間の利用権設定と手続負担の減少が実現され、これまで以上に活用される道が拓かれたといえます。⑸ まとめ 前述したとおり相続未登記であっても大多数は農地として利用されているという調査結果があり、法改正により所有者不明農地が活用し易くなったものの、依然として相続未登記により各種の弊害が出ることも事実です。そもそも相続登記が確実になされていたならば、不明所有者の探索・公示手続を待たずにスムーズに農地の出し手から受け手に農地を引き渡すことができます。法改正され手続の簡素化が図られましたが、それでも不明者の探索や公示手続等を経た場合は、受け手が耕作を始めるまで相当の時間がかかります。農業は野菜や果物等それぞれの時期・季節にあった育成が必要となるため、土地の利用開始までに時間がかかると栽培スケジュール等の営農計画にも大きな影響がでてきてしまいます。また、土地改良事業における換地処分にも支障が生じ、ほ場整備にも影響がでています。土地と登記の問題においては、所有者不明土地関連の三法が公布され、令和5年から順次施行されています。今後はそれらの実効性等が問われていくところでありますが、その変化の中において取り残される問題も存在するように思います。農業にとって土地は、無くてはならない大切な資産です。土地の権利問題は農業経営の問題に直結するため、農地における登記の重要性について改めて認識を深める必要があるように思われます。第1章 農地の相続、農業の承継に関する基礎知識44

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