初版を発行してから7年が経過しました。その間に農地を含めた所有者不明土地問題に大きな動きがあり、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が平成30年に制定され、その後も大きな改正がなされています。農地についても農業経営基盤強化促進法の改正により相続が未了の農地についても一定の手続きを踏めばその利用が確実にかつ長期間できるものとなりました。また、財産管理制度の改正もなされ、所有者不明土地・建物管理制度など新たな財産管理制度が創設され、土地や建物について所有者が不明のため利用できないということに対して、より柔軟に財産管理制度が利用できることとなってきました。更に不在村地主(その農地の周辺に居住していない所有者)が所有している農地に対する対策となりうる相続土地国庫帰属制度も令和5年より始まりました。 初版のはしがきでは、「農業を継いでくれる人がいない」、「農業をやめたいので農地を手放したい」といった農家からの相談のみならず、「相続で図らずも農地を持ってしまったがどうしたらよいのか」、「耕作放棄地になっている農地を持っているが、今後何か別なことに使えるのか」といったいくつかの相談事例をあげました。これまでの法制度に加え、前述したような法改正を活用することによって、それらの相談事例に対しても柔軟な回答が可能となってきました。 初版当時すでに超高齢社会となっていた我が国は、その後も高齢化が進み、もはやこのままで行くと社会が破綻するような状況になってきています。少子化対策も遅々として進まない状況です。農業の現場でも日本全体の高齢化の速度を上回るペースで高齢化が更に進んでおり、今後、農業の成長を今まで以上に加速するためには、農業の円滑な事業承継が待ったなしの課題となっています。 また、高齢化対策として考えられるのはIT技術による省力化です。農業の分野でも植物工場まではまだまだ一般的にはなっていませんが、栽培第2版 はしがきi第2版 はしがき
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