農承
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 司法書士高田タロウは、農業経営者照山二郎(68歳)より、次のような相談を受けた。 照山二郎さんは、長年稲作を中心として農業を営んできたが、今年人生で初めて病気で入院し、自分が亡くなったときのことを考えはじめたとのこと。照山さんには、2人の子がいて、長男Aは会社員となり農業に全くかかわっていないが、次男Bは学校卒業後、農家を継いでくれるということで照山さんと同居し、農業をその生業としている。照山さんの農地は、市街化調整区域内だけではなく、市街化区域にも存在し、土地だけでも相続税がかかる可能性が高いため、生前に農家の経営権を次男に移譲し、今後の農業収入が自分の財産として蓄積されていくことのないようにしたいと考えているという。さらに、照山さんは、農地を自分の名義のままにしておくと、自分が死んだときに長男Aが相続権を主張して農地が分割され生産性が低下し、結果として次男が農業だけでは生活していけなくなるのではないか、また先祖代々の土地が農業を営まない長男によって次々売却されてしまうのではないかと心配で、できれば農地を次男Bに生前贈与したいと考えているという。事例2 こんにちは。今日はよろしくお願いします。 今日はどのようなご相談でしょうか。事例2 生前贈与司法書士 高田照山129概 要生前贈与

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