農承
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備が計画されていない土地について、①その土地が森林の様相を呈しているなど農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難な土地、②①以外の場合であって、その土地の周囲の状況からみて、その土地を農地として復元しても継続して利用することができないと見込まれる土地、のいずれかに該当するものは、農地に該当しない。」とされています。現場においては、農地への復元作業のために農業用機械を含む重機の進入ができない土地や、仮に進入できても十分な作業ができない土地は、非農地と判断される傾向にあります。一方、荒廃しているようにみえたとしても、重機を利用すれば農地への復元が可能な土地は、農地と判断されます。非農地判断のための現況確認作業では、多くの場合、航空写真が利用されているようです。それでも判断材料として不足である場合には、現地確認が行われます。 「非農地」とされた土地は、農地法の適用を受けない土地となり、農業委員会が把握する農地ではなくなります。国では、農業経営効率化の一端として、営農条件の良い農地と、それ以外の農地の選別を推し進めています。そして、中山間地域の農地は、非農地と判断される傾向があります。たしかに、経営効率のことを考えた場合は、国が推し進めている趣旨も理解することができます。しかし、一度、非農地と判断された土地は、農地として管理されることがなくなり、荒廃が進んでしまいます。とくに、中山間地域の農地は、このことが顕著です。中山間地域の土地が管理されず荒廃した結果、近年、多発する豪雨において、土砂崩れや河川の氾濫などの災害につながっているとの指摘がなされています。また、害獣被害が毎年のように報告されていることも中山間地域の農地の荒廃に原因があるとされています。私たちは、農地が食料生産の基盤であると同時に、農地が持っているそれ以外の能力についても目を向ける必要があるのかもしれません。第2章 農地の相続、農業の承継についての事例検討214

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