農承
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ハウスは、もはやビニールハウスというものではなく、強化プラスチックで堅牢に建てられIT技術を採用した植物工場に近いハウスとなっています。当然投資額も10年前の投資額の何倍にもなっており、事業規模が大規模でないと対応できない状況となり、事業規模拡大のため農業経営の集約化が急がれています。農地の集積だけでなく農業の集約が必要となっており、副業として定年間近から家業の農業を継ぎ細々と行っていくなど、これまで見られた形では農業の承継が難しくなってきています。農業支援を行う専門家としては、日本の伝統的な家の承継に配慮しながらも、農業が先細りしないような承継を農業者とともに考え提案するという任務が重要となってきています。 経済に着目すると、日本の経済規模はその指針であるGDPを中国またドイツにも抜かれ、世界4位となってしまいました。そのような経済状況の中でも農産物の輸出高は、目標を上回る速度で伸びており、農産物の輸出は日本の数少ない経済成長分野となっています。 国はこれまで「人農地プラン」に基づき「担い手」と呼ばれるプロの農家に農地を集約することを目指していました。令和4年に農業経営基盤強化促進法の改正を行い、それを方向転換し、地域内外から農地の受け手、農業の担い手を幅広く確保しつつ、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めるという方向にかじを切っています。 本書では、専門家が農業の、特に農業承継の支援を行うときに参考になるよう解説を行っており、第2版では、前述した法改正に対応しております。本書をご一読いただき、まだまだ手薄である農業への専門家の支援に積極的に取り組んでいただければ幸いです。 令和6年4月執筆者代表司法書士 髙橋宏治第2版 はしがきii

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