現在、我が国は世界でも類を見ない超高齢社会に突入しています。司法書士をはじめとする法律職の事務所にも、相続についての相談が年々増加しており、相続登記や財産承継業務、成年後見業務が業務の柱となってきています。そのような相談を受けているときに、“農地”の話が出てくることはないでしょうか。 「農業を継いでくれる人がいない」、「農業をやめたいので農地を手放したい」といった農家からの相談のみならず、「相続で図らずも農地を持ってしまったがどうしたらよいのか」、「耕作放棄地になっている農地を持っているが、今後何か別なことに使えるのか」といった、なかなか一筋縄ではいかない相談まで、農地に絡む様々な相談があります。空き家問題も大きな問題ですが、耕作放棄地も深刻な問題となっています。日本全体の高齢化に伴い、農業者も加速度的に高齢化が進んでおり、このような相談は今後もさらに増加していくものと思われます。 農地については農地法という法律があり、一旦所有した農地を手放すためには、原則として農業委員会の許可が必要となり、その許可を得るためには、いくつかの要件をクリアしなければなりません。所有者の意思だけでは簡単に手放せないのです。その一方で、国は「担い手」と呼ばれるプロの農家に農地を集約することを目指しています。規模の拡大により強い農家を生み出そうとしているのです。農業分野が成長産業の一つに位置付けられているため、農業に就きたいという若者や、農業に進出したいという企業も増加しています。国は、そのような人や企業に対して、農業進出につながる支援をし、農地を活用できるように法改正をしています。つまり、良くも悪くも固定化されていた農地の「流動化」に対して、積極的に動いているのです。 その動きは農業委員会の改革にも及んでいます。これまでは農業者のみで組織されていた農業委員会に、「農業者以外の者で、中立な立場で公正な判断をすることができる者を1人以上」入れなければならないこととなりました。そして、この中立委員としては弁護士、司法書士、行政書士等初版 はしがきiii初版 はしがき
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