がまず念頭に置かれています。しがらみのない法律職を積極的に農業分野に取り入れ、適正な外部からの農業進出を推し進めようとしているのです(執筆陣の中でも八田賢司司法書士が地元の農業委員会委員に選任されています。)。今後は、農地法の許可の出方も変わってくるかもしれません。 以上のように、一方で農地の相続、農業の承継の場面で困っている人がいて、もう一方ではそれを活用したい人が増えています。そのような、農地、農業の橋渡しをする重要性が今後ますます増えてくるのではないでしょうか。本書では、具体的な事例をいくつかあげ、そのような場面での適切なアドバイスを提示しています。 ただし、一口に農業といっても幅広い分野を含んでいます。本書は、違った環境で仕事をしている司法書士が集まり、研究をして執筆しました。農地がほとんどを占める地域で仕事をしている司法書士、大都市に事務所を構えている司法書士もおり、農業といっても稲作中心の地域と施設園芸中心の地域では状況が異なりました。観光農園が適切な農地の活用方法である地域もあれば、大規模な稲作を行う方がよい地域もあります。執筆陣の中で意見交換をしてみると、当然自分の地域で当たり前だった方法が、他の地域では通用しないことが分かり、多くの発見がありました。本書をお読みいただければ、ご自身の事務所に農地の相続や農業の承継の相談があった場合、適切な対応が取れる一助になるのみならず、それと同時に、他の地域ではどのような状況であるかもご理解いただけるのではないかと思います。 最後になりましたが、栃木県会の山中保男司法書士には、毎回研究会に参加いただき、その豊富なご経験から貴重なアドバイスをいただきました。本書の多くの部分に、山中先生のお考えが反映されています。誠にありがとうございました。平成29年5月執筆者代表司法書士 髙橋宏治初版 はしがきiv
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