10_類信
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2 第1章 総 論1信託の定義そこで,本書では,本章において,信託法の全体について概観し,運営状況,利用状況を検証したうえで,第3と第4の点に着目し,第3の点については,新たな類型の信託であるセキュリティ・トラスト,自己信託,受益証券発行信託,限定責任信託,事業の信託,受益者の定めのない信託,さらには,信託ではないものの,新しい機能を有する信託社債について,第4の点については,遺言代用信託と後継ぎ遺贈型の受益者連続信託について,①創設の経緯,②条文の解釈,③理論的問題の提起とその検討,④活用事例又は想定事例,⑤実務上の問題の提起とその対応,⑥現状における評価と今後の展望について,他の法制度との競争の視点を視野に入れつつ,検証を行うものとする。なお,信託会計と税制について,第10章において,まとめて,解説と検証を行うものとする。信託は,信託目的と信託財産を中心とした委託者・受託者・受益者三者の法律関係であり,一般に,委託者が,信託行為(信託契約,遺言,自己信託)のいずれかの方法に基づき,受託者に対して,金銭や土地などの財産を移転し,受託者は,信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分等をする制度であるといわれている。信託法2条1項では,この法律において「信託」とは,次条各号に掲げる方法(契約,遺言,自己信託)のいずれかにより,特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることと定められている。2信託の設定方法と効力契約により設定する信託は,委託者が,受託者との間で,〔財産の譲渡,第2 信託法の概要

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