第2 信託法の概要/3 信託目的 3担保権の設定その他の財産の処分をする旨〕と〔受託者が信託目的に従い,信託財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨〕の2つの内容を盛り込んだ契約を締結する方法により設定するものであり(信託法3条1号),信託契約の締結により効力が発生する(同法4条1項)。遺言により設定する信託(遺言信託)は,委託者が,受託者に対して,信託契約と同様の内容の遺言をすることにより設定する信託であり(同法3条2号),遺言の効力発生によって成立し効力が発生する(同法4条2項)。自己信託は,委託者が受託者となる信託で,委託者が,信託目的に従い,自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録によってその目的,財産の特定に必要な事項その他の法務省令(信託法施行規則3条)で定める事項を記載し又は記録したものによってする信託である(信託法3条3号)。①公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録によって設定される場合は,その公正証書等の作成が,②公正証書等以外の書面又は電磁的記録によって設定される場合は,受益者となるべき者として指定された第三者に対して確定日付のある証書による信託の通知を行うことが,効力要件とされている(同法4条3項)。3信託目的信託法2条1項では,「一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。)」に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要とすべきものと規定されているが,この「一定の目的」が「信託目的」と呼ばれるものである。信託目的は,その信託設定によって達成しようとしている目標であり,「受託者の行動の指針となり,受託者の権限の範囲を確定したり,信託が終1)了すべきか否かを判断する基準となる。」といわれている。したがって,信託目的は,信託にとって,必要な要件であり,信託目的のない信託は無効で1)能見善久『現代信託法』(有斐閣,2004)14頁
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