10_類信
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4 第1章 総 論ある。また,「信託目的」は,信託行為の一条項として明記されているものを指すのではなく,信託行為全体により解釈される。4信託会計信託会計に関して,信託法は,「信託の会計は,一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。」(信託法13条)ことを定めており,信託法の規定により委任された信託の計算に関する事項等について,必要な事項を定めた信託計算規則が制定されている。この信託計算規則3条においては,「この省令の用語の解釈及び規定の適用に関しては,一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行をしん酌しなければならない。」ことが定められている(詳細については,第10章参照)。5信託財産⑴ 信託財産の範囲信託法では,信託財産は,「受託者に属する財産であって,信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう。」と定義されており(信託法2条3項),一般に,金銭に見積もれるものでなければならず,積極財産でなければならないといわれている。したがって,特許権等の知的財産権のほか,特許を受ける権利,外国の財産権等も含まれるが,人格権は含まれず,債務は,信託財産ではない。その信託財産の範囲は,信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか,信託財産に属する財産の管理,処分,滅失,損傷その他の事由により受託者が得た財産,信託法の規定により,信託財産に属することとなった財産であることが定められている(同法16条)。⑵ 信託財産責任負担債務信託財産責任負担債務とは,受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務(信託の債務)のことをいい(信託法2条9項),信託法21条1項において,信託財産責任負担債務に係る債権が,限定列挙されて

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