6_借正
13/36

正当事由による借地契約の終了 借地借家法5条1項の借地権者の請求に係る更新と,同条2項及び3項の土地の継続使用による更新(本来は,借地権者が更新請求する場合であるが,更新請求をしないうちに借地期間が満了し,借地権者あるいは転借地権者がそのまま借地を利用している場合)について,借地権設定者が更新をしないという場合には,遅滞なく異議を述べなければならないが,その異議には正当事由が必要である。 また,同法7条1項は,借地権の存続期間が満了する前に,建物の滅失があった場合において,借地権者が残存期間を超える建物を築造したときは,借地権設定者の承諾がある場合に限り,借地権は,承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続するが,借地権設定者の承諾がないときには,借地権はどうなるであろうか。 借地権設定者の承諾がない場合には,残存期間はもちろん使用継続できるが,賃貸借期間が満了した後には,合意による更新はあまり期待できず,借地権者の更新請求に対しては,借地権設定者から更新拒絶が予想される。しかし,この場合にも借地権設定者の更新拒絶には,正当事由が必要である。 同法7条2項において,借地権設定者が借地権者から通知を受けた後2か月以内に異議を述べた場合には,借地権設定者の承諾がなかったものとして,残存期間まで使用継続できるが,借地権設定者が残存期間満了時に更新を拒絶した場合には,その更新拒絶には正当事由が必要である。 同条3項は,転借地権者が建物滅失後,建物を再築した場合であり,やはり,借地権設定者からの更新拒絶には,正当事由が必要である。 ところで,借地法4条1項は,「借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と規定し,借地権の存続期間が満了した場合に,借地権者が更新を請求してきたときに,ただし書で,正当事由がある場合には借地契約第1編正当事由による借地契約の終了

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る