6_借正
25/36

       3  更新拒絶の正当事由の有無を判断するについては,土地所有者が遅滞なく異議を述べるべきであった時期を基準とすべきであり,立退料支払の条件提示は,その基準時期後に生じた事実であって,正当事由としては斟酌し得ない。   4  賃貸人が賃借人に対して,400万円の金員の提供を申し出たのは,異議時から約1年8か月後で   5  正当事由の有無の判断基準時を賃貸借期間終了の時とし,その後の資料を判断基準時の事実関係を   6  借地契約の更新拒絶につき,正当事由の有無を判断すべき基準時は,賃貸借期間の満了時を基準とすべきであるが,基準時後の事情であっても,事柄の性質如何によっては,これを判断基準に加えることも必ずしも背理ではないとして,賃貸借期間満了後,約4年10か月後にあった金員の申出について,正当事由を補強し得るとされた事例   8  正当事由は,借地期間満了の時ないし土地所有者が異議を述べた時(基準時)までの事実関係を主たる要素としてその存否を判断すべきであるが,基準時から著しく隔たっていない時期に生じた諸事実も,基準時に予想し得たものである場合及び基準時における正当事由の存否の徴憑たり得るものである場合には,これを補完的に考慮するのが相当である。  10  賃貸人は,賃借人に対し,ほぼ13年経過した時点で金4億円の金員の提供を申し立てているが,本件訴訟の経過に照らし,遅滞なくされたものと認められるから,これを正当事由の判断に斟酌することに妨げはないとした事例最判昭和39年10月16日( 民集18巻8号1705頁,裁判集民75号801頁, 東京高判平成元年10月30日(判タ752号179頁)  3最判昭和39年1月30日(裁判集民71号557頁)  4東京地判昭和42年7月13日(判時497号55頁)  5最判昭和49年9月20日(裁判集民112号583頁)  5東京高判昭和51年2月26日( 高民集29巻1号16頁,東高時報民27巻2号48頁, 名古屋高金沢支判昭和52年9月7日(判時875号57頁,判タ366号245頁)  6東京高判昭和54年3月28日( 東高時報民30巻3号77頁,判時935号45頁, 福岡高判昭和54年12月20日(判時960号58頁,判タ413号133頁)  8東京地判平成元年12月27日(判時1353号87頁)  9判時397号37頁,判タ170号115頁)  2判時815号55頁,判タ338号181頁)  6判タ392号85頁)  7判例索引1(正当事由の要旨別)  191 1  1  賃貸借契約の締結時が判然としない場合,結果的に,賃貸人の異議が契約期間満了後,約1年半を経過した後になされたとしても,遅滞なく述べられた異議に当たり,それまでの間,賃料を受領していたことをもって,賃貸人が異議権を放棄したものと推認することはできない。  2  借地期間満了後,1年10か月以上経過した後になされた立退料の提供が,異議申立期間を既に経過しており,「遅滞なく」異議の申立てをしたとは認められないとした事例あるから,正当事由の有無につき,考慮すべき事由とはならないとした事例認定するための資料として斟酌した原審の判断は正当である。  7  借地の賃貸借期間満了時から6年以上経過した後になされた立退料の申出は,正当事由の有無の判断に当たっては斟酌することはできないとした事例  9  賃貸人には,土地利用の効率化を図る必要性が極めて大きく,永年の低額な賃料と相俟って,立退料の提供の申出が賃貸借の期間満了時から約1年4か月後であっても,正当事由判断の基礎となし得るとした事例判例索引1(正当事由の要旨別)〈正当事由による借地契約の終了〉  

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る