12 借地法4条1項の正当事由を補完する立退料等金員の提供ないしその増額の申出は,土地所有者が意図的にその申出の時期を遅らせるなど信義に反するような事情がない限り,事実審の口頭弁論終結時までにされたものについては,原則としてこれを考慮することができる。 13 土地の一部について,賃貸人の更新拒絶に正当事由があるとした事例 14 賃貸人の土地の使用の必要度は,賃借人のそれに比して勝るとも劣らないものであって,更新請求 15 永年にわたり建物を他人に賃貸し,借地人は別のところにある自己所有の建物に居住している事情を考慮すると,借地人の土地使用の必要性は,賃貸人のそれを上廻るものとはいえないとして,更新拒絶及び使用継続に対する異議に正当事由があるとした事例 16 借地法6条の異議の正当事由として,近い将来予想される賃貸人の転勤の事情も考慮することが 17 賃貸人の家庭の事情,賃借人所有建物の老朽化と土地使用の必要性の程度,新興住宅地帯を形成す 18 賃貸人の土地使用の必要性や土地の場所的環境を考慮し,借地の一部の空き地等について,異議に 19 借地上の建物の利用上不可欠な私道についても借地法の適用があるが,賃貸人が区に対し,当該私道を無償で貸与し,将来的には,付近住民とともに借地人も当該私道を利用できることなどから,更新拒絶には正当事由があるとした事例 20 土地の賃貸借契約において,賃貸人の住宅事情の方が,賃借人側のそれより劣悪であり,賃借人側から建物買取請求が予想される状況の下では,賃貸人に土地明渡し後の具体的な建築計画を有しないからといって,正当事由の存在を否定することはできないとした事例 24 80歳を超える借地人の簡易旅館業の経営を継続したいとの事情等よりも,土地の高度利用を図り192 判例索引1(正当事由の要旨別) 11 正当事由の存否は,賃貸人が異議を述べた時を基準として,その時点において存在した事情について検討すべきであり,異議時より約12年10か月後になされた立退料の申出については,正当事由の存否の判断に当たって,考慮することはできないとした事例に対する異議には正当事由があり,建物買取請求権の行使を条件とする建物明渡しを認めた事例許されるとして,正当事由を認めた事例る近隣の状況等一切の事情を考慮すると,賃貸人の異議には正当事由があるとした事例正当事由を認めた事例 21 借地契約の更新につき,正当事由があるかどうかを判断するに当たっては,特段の事情がない場合には,借地人側の事情として建物賃借人の事情を斟酌することは許されない。 22 借地契約の更新拒絶につき,正当事由があるかどうかを判断するに当たっては,特段の事情がない場合には,借地人側の事情として建物賃借人の事情を斟酌することは許されない。 23 賃貸人には,自己の年齢及び経済状態から土地を駐車場として使用する必要性があり,賃借人所有の建物の老朽化などを考慮すると,賃貸人の更新拒絶には,正当事由があるとした事例たいとする賃貸人の事情に,正当事由があるとした事例東京高判平成3年1月28日(判時1375号71頁,判タ756号229頁) 9最判平成6年10月25日( 民集48巻7号1303頁,裁判集民173号169頁) 10東京地判昭和45年11月27日(判時626号64頁) 11東京高判昭和48年4月26日(判時705号54頁) 11東京高判昭和50年5月29日(判時786号45頁) 12東京高判昭和50年8月20日(判時803号72頁) 13大阪高判昭和52年9月16日(判時879号85頁) 14札幌地判昭和53年1月25日(判時905号93頁,判タ369号287頁) 15東京地判昭和55年1月30日(判時969号87頁,判タ415号126頁) 15東京高判昭和56年1月29日( 東高時報民32巻1号25頁,判時994号48頁, 最判昭和56年6月16日( 裁判集民133号47頁,判時1009号54頁,判タ446号84頁, 最判昭和58年1月20日( 民集37巻1号1頁,裁判集民138号27頁,判時1073号63頁, 東京地判昭和59年7月10日(判時1159号130頁) 20東京地判昭和61年1月28日(判時1208号95頁) 20判タ449号95頁) 17金判629号3頁,金法985号42頁) 18判タ494号81頁,金判670号9頁,金法1022号52頁) 19
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