第1 消費者契約法の特色と概要 3 消費者契約法は,消費者と事業者との契約に適用される法律であり,契約等の一般的なルールを定めた民法の特別法に当たります。 すなわち,消費者契約法は,広く全ての消費者と事業者との間の取引(ただし,労働契約は除く。)について,消費者と事業者との情報の質及び量・交渉力の格差に着目し,まず,事業者が消費者契約の締結の勧誘をするに際し,事業者の一定の不適切な行為により消費者が誤認又は困惑した場合に契約を取り消すことを認めています(消契法1条,4条)。なお,平成30年改正消費者契約法(令和元年6月15日施行)により,①4条2項(不利益事実の不告知)の要件を緩和し,故意要件に重大な過失が追加され,また,②4条3項(消費者が困惑した場合における取消し)につき,3号から8号が新設され,取消事由が追加されました。 また,消費者契約法は,消費者と事業者の間の情報・交渉力の格差等に着目し,消費者に一方的に不利益な条項により消費者の正当な利益を害されることを防ぐため,8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効),8条の2(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効),8条の3(事業者に対し消費者の後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効),9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)及び10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)を設け,このような不当条項の全部又は一部を無効としています。なお,8条の3は,平成30年改正消費者契約法により新設されたほか,同改正法により,8条及び8条の2につき,事業者に対して,自分の損害賠償責任の有無若し第消費者契約法の特色と概要11
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