消ハン
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1 総 説32  第2章 消費者契約法(1)取り消すことができる場合(不当勧誘による契約の取消し)の3類型 消費者契約法4条は,事業者が消費者契約の締結の勧誘をするに際し,消費者が誤認や困惑をして契約の意思表示をし,また,過量の契約の意思表示をした場合において,当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示を取り消すことができることを規定しています。 契約の意思表示を取り消すことができる場合として,①消費者が誤認した場合(消契法4条1項・2項),②消費者が困惑した場合(同条3項),③契約の目的となる分量等が過量である場合(過量契約。同条4項)の3類型があります。(2)3類型の概要 ア 誤認による取消し(誤認類型)には,事業者が契約締結を勧誘するに際しての,⒜不実告知(消契法4条1項1号),⒝断定的判断の提供(同項2号),⒞不利益事実の不告知(同条2項)の三つの場合があります。 この誤認による取消しは,民法の詐欺による取消し(民法96条1項)の要件を満たす場合もありますが,民法の詐欺による取消しは,①詐欺の故意,②欺罔行為,③欺罔による錯誤と意思表示との間の因果関係,④詐欺の違法性が要件となる一方,誤認による取消しでは,不実告知,断定的判断の提供,第消費者契約の申込み又は承諾の意思表示の取消し44

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