第4 消費者契約の申込み又は承諾の意思表示の取消し 37 俳優等の養成所の勧誘パンフレットが「勧誘」に当たることを前提として消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)に該当するとして契約の取消しを認めた。 雑誌に記載されたパチンコ攻略情報の広告を見た消費者が事業者に連絡してパチンコ攻略情報を購入した事案において,事業者の勧誘内容のほか当該広告の「1本の電話がきっかけで勝ち組100%確定」などという表現をも考慮に入れて,消費者契約法4条1項2号(断定的判断の提供)に該当するとして契約の取消しを認めた。 消費者契約法2条4項にいう適格消費者団体(上告人)が,クロレラ健康食品の小売販売等を営む会社(被上告人)に対し,同社が自己の商品の原料の効用等を記載(クロレラには免疫力を整え細胞の働きを活発にするなどの効用がある旨の記載や,クロレラの摂取により高血圧,腰痛,糖尿病等の様々な疾病が快復した旨の体験談等の記載)した新聞折込チラシ(以下「本件チラシ」という。)を配布することが,消費者契約(消契法2条3項)の締結について勧誘をするに際し同法4条1項1号(不実告知)に規定する行為を行うことに当たるとして,同法12条1項及び2項に基づき,同社が自ら又は第三者に委託するなどして新聞折込チラシに上記の記載をすることの差止め等を求めた事案において,「上記各規定(筆者注:1条,4条1項から3項まで,5条,12条1項及び2項)にいう「勧誘」について法に定義規定は置かれていないところ,例えば,事業者が,その記載内容全体から判断して消費者が当該事業者の商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは,当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから,事業者等が不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を上記各規定にいう「勧誘」に当たらないとしてその適用対象から一律に除外することは,上記の法の趣旨目的に照らし相当とはいい難い(下線は筆者)。したがって,事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたも イ 参考裁判例裁判例神戸簡判平成14年3月12日(消費者法ニュース60号211頁)東京地判平成17年11月8日(判時1941号98頁)最判平成29年1月24日(判時2332号16頁)裁判例裁判例
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