4_家契
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3 これまでの法制度では達成できないことを可能にする家族信託契約られている。そこで、次に述べる、家族信託契約の役割と機能及び任意後見契約との併用の必要性を脳裏に刻み、依頼者の要望のみならず金融機関の要請に応える業務を実践すべきであると考えている。 家族信託契約は、これまで民法等では認められていない仕組みや法律構成を可能にする。 しかも、その信託が有する特有の機能が有機的に組み合わされて大きな力を発揮してくれるのである。家族信託支援業務に当たる者は、このことを関係者に正確に伝えることが大事である。⑴ 長期にわたる後見的な財産管理機能を有すること 本人の資産をしっかり管理し、家族と本人の生活を護るというのは、まさに後見的な財産管理制度であるが、成年後見制度とはその守備範囲が全く違う。 成年後見制度では、本人の財産は本人のためにしか使えない。 したがって、本人を支える家族が真に困っていても、また本人が家族の救済を希望したとしても、成年後見人は、原則その管理する本人の財産を家族のために利用することはできない。それだけではない。成年後見制度では、本人のためといえども、管理対象の金銭等預貯金を株式や投資信託等の金融商品として運用したり、新たな賃貸用の建物を建築し不動産事業等を営むためには使えない。 しかし、家族信託は違う。家族信託契約は、信託の目的によっては本人の財産を家族のためにも活用することができる。また、新たに賃貸用のマンションやアパートを建築購入するなどしてそれまでの事業を拡大することもできるうえ、さまざまな「相続対策」のために利用することもでき、序論 過渡期を迎えた家族信託契約 5

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