3 信託は財産の信託譲渡と衡平な信頼関係で成り立つ16 第1章 家族信託契約の法制度を知る※なお、任意後見人は、上記のほか、本人が有する受益権の管理等を行うことになる。⑴ 信託は一般的に次のように定義づけられている。 信託とは、信託を設定する人(委託者)が、自分が有する一定の財産を別扱いとして、信頼できる人(受託者)に託して名義を移転し、この託された人において、その財産を一定の目的に従って管理活用処分を行い、その中で信託の利益を享受する人(受益者)に信託財産を利用させあるいは運用益等を給付し、そして最終的には財産そのものを遺したい人(帰属権利者等)に引き渡し給付して、その目的を達成する法制度である。信託においては、委託者が信託する財産を受託者に完全に移転し、委託者の支配下から外れるのである。 家族民事信託は、その基本的要件(成立要件)として❶ 委託者から受託者に特定の財産が移転(信託譲渡)されること❷ 受託者に特定の目的を実現するために当該財産を独立の財産として管理処分する権限(排他的権利)があること(本人の固有財産)年金(預貯金)手許現金信託財産以外の財産任意後見人(管理)(任意後見受任者)成年後見制度と信託契約の管理対象財産(任意後見人・受任者と受託者)(信託財産)信託不動産金融資産・預金株式 有価証券受託者(管理)
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