成り立つ制度なのである。■“FiduciaryLaw”が紹介する「信託成立要件」と「信認義務」 「Fiduciary Law」の原著者タマール・フランケル教授が説明する「信託成立要件」と「具体的な信認義務」は、次のとおりである。【信託成立要件】 信託の成立要件は、財産の所有者(委託者)が、①相手方(受託者)に財産を託すこと、②受託者に信認義務を課す意思があること、③託された財産を管理運用することを受託者に義務付けること、④そうした財産の管理運用が特定の受益者の利益のために行われること、である(溜箭将之監訳「フィデューシャリー『託される人』の法理論」5頁)。※ この説明の中の①は前記❶の信託財産の信託譲渡、②は❸信認関係の確立、③は❷の信託財産の管理権限に関わるものであり、④は❸の⒝の受益者保護に通じるものと考える。【信認義務】 信認義務の内容(分類)としては● 忠実義務(託された財産と権限に関わる義務)● 注意義務(受認者がサービスを提供する際の質と注意に関わる義務)の二つがある。 これに加えて、忠実義務に基づく義務として● 託された財産もしくは権利について、託す行為に伴う指図に従い、これを遵守する義務(信託の目的及び指図人の指図を遵守する義務)● 受認者がサービス提供時に誠実に行動する義務(誠実執行義務)● 受認者の提供すべきサービスを他者に委任しない義務(自己執行● 会計報告義務と関連する情報を託す人に開示する義務(会計報告義務)義務)第1 家族信託契約の仕組み等を知る 19
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