ii ことになる。このため、本来は消えてもらうはずの関係人である委託者が、継続して信託登記されるほか信託事務の中でも数多く登場するようになったことから、この後継委託者によって信託が壊されないようにするために、委託者代理人制度を取り入れることにしたのである。 その役割等については本文を見ていただきたい。 ところで、低迷する成年後見制度を利用促進するために、政府は専門家等を集め5年間議論を重ねてきたが、抜本的な解決策を見出せないまま、ここにきてさらに5年間議論すると言い出した。しかし、一方であたかもそれに見切りをつけたように、法務省が中心となって、新たな成年後見制度の仕組みを創設するために、「成年後見制度の在り方に関する研究会」が動き出した。同研究会では、範囲・期間を限定した成年後見制度の導入などが議論されている。しかし、この法改正によっても、家族民事信託が有する後見的機能に取って替わるだけの改正変更はなく、信託の有用性は変わることはないはずである。 家族信託支援業務を担う専門家のみならず、金融関係者も本書を手にして、今動いている家族民事信託の契約の実情を理解してほしい。加えて、新しい仕組みをも取り入れた企画制作に取り組んでいただき、多くの人に家族信託契約制度を正しい形で利用してもらうよう取り組んでいただきたい。 令和5年3月著 者
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