主文例からみた請求の趣旨記載例集
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2第1章 給付訴訟通常,利息と同様に,元本の額に応じ一定の割合(損害金利率)で支払われる。遅延損害金は,遅延損害金支払の合意がなくとも,一定の遅延損害金を請求することができる。⑵ 利息の起算点 利息の起算点は,元本債権が生じたときである。 判例も,「消費貸借における利息は,元本利用の対価であり,借主は元本を受け取った日からこれを利用しうるのであるから,特約のないかぎり,消費貸借成立の日から利息を支払うべき義務がある」としている(最判昭和33年6月6日民集12巻9号1373頁)。⑶ 利息の利率 利息が発生する場合,利率は,当事者の合意によって定めることができるが(約定利率),別段の意思表示がないときは法定利率によるところ,民法はその利率を年5分とすると定めている(民法404条。民事法定利率)。 また,商行為によって生じた債務に関しては,法定利率は年6分と定められている(商法514条。商事法定利率)。 なお民法改正により法定利率は3年ごとに変動するものとされ,改正当初の法定利率は年3パーセントである。また,民法改正に伴い商事法定利率は廃止される。 さらに,特別法で上記の法定利率を修正するものがある。 例えば,供託金に付される利率は,年0.024パーセント(供託法3条,供託規則33条),地代・家賃の増減請求における不足分の支払又は超過分の返還に付される利率は年1割とされる(借地借家法11条2項・3項,32条2項・3項)。 なお,利息を年365日の日割りで計算にするには,その旨の特約が必要となる。 また,手形金の支払を満期到来前に求める場合,訴求日の公定割引率(銀行率)により支払日から満期日までの利息を手形金額から控除することになる(手形法48条2項)。

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