3第1 金銭請求関係訴訟⑷ 利息制限法による利率の制限ア 制限利率 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は,その利息が次の利率により計算した金額を超えるときは,超過部分につき無効となる(利限法1条)。なお,取引期間中に元本が減少しても,制限利率は変更されない(最判平成22年4月20日民集64巻3号921頁)。 ① 元本が10万円未満の場合年2割 ② 元本が10万円以上100万円未満の場合年1割8分 ③ 元本が100万円以上の場合年1割5分イ みなし利息 利息制限法1条(利息の制限)及び2条(利息の天引き)の規定の適用については,金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は,礼金,割引金,手数料,調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず,利息とみなす。ただし,契約の締結及び債務の弁済の費用は,この限りでない(利限法3条)。ウ 超過利息等を支払った者の求償の制限 連帯債務者の1人が利息制限法所定の制限を超える利息を支払っても,超過部分の利息の約定は無効であるから,超過部分についての負担部分も存在しないので,他の連帯債務者に対して上記制限を超える利息相当金を求償することはできない(最判昭和43年10月29日民集22巻10号2257頁)。⑸ 遅延損害金の起算点ア 総 論 遅延損害金の法的性質は,履行遅滞に基づく損害賠償金(民法415条)である。 したがって,遅延損害金の起算点は,原則として,履行期を経過した日であり,履行期について日をもって定めた場合には,その翌日から遅延損害金が発生する。 なお,同時履行の抗弁権(同法533条)がある場合には,違法性が阻却されるので,履行期を経過しても遅延損害金は発生しない。
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