講家上
49/102

第1章第1 はじめに──問題の設定1 本稿のテーマである「訴訟と非訟」は,伝統的な論点であり,既に論じ尽くされている感もある。ただ,それらの議論は,当然のことであるが,従来の家事審判法を含む非訟法制を前提に展開されてきたものである。これに対し,家事事件手続法の制定を含む近時の新たな非訟法制の整備により,従来の議論の展開に何らかの影響が生じるかが問題となる。この点が本稿の主たる問題関心である。 本稿は,訴訟との関係(非訟化)が問題になる事件類型として,当事者対立構造をもつ事件(相手方がある事件),家事事件でいえば別表第2の事件を中心に取り扱うが,別表第1の事件も対象には含む。また新たな法制として,非訟事件手続法及び家事事件手続法を中心に考えるが,その後に制定された新たな非訟事件である「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」の子の返還手続なども視野に入れる。1)なお,民事訴訟法が準用される決定手続(倒産手続等)にも(実質的な非訟事件として)同様の問題があるが,本稿では,これらは一応射程外とする。2)第1 はじめに──問題の設定1)さらに,労働審判事件その他近時整備された個別の非訟事件についてもふれる。2)ただし,これらの事件類型についても,本稿の議論が妥当する部分はあり得よう。特に,ハイブリッド型手続との関係では,民事訴訟法が準用される決定手続の後に訴訟手山本和彦訴訟と非訟

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る