1 ハイブリッド型手続の意義 従来,訴訟と非訟の枠内では論じられることが少なかったが,近時の極めて重要な動向として,ハイブリッド型手続の隆盛という論点がある。 「ハイブリッド型手続」とは,まず非訟手続を前置し,それに異議等が出ない場合にはそのまま確定し,異議等が出た場合には訴訟手続において再審理するような手続を指す。これは,非訟手続と訴訟手続を連続させることで,純粋の訴訟事件を非訟手続で取り扱う可能性を開く試みということができる。訴訟事件を後ろに置き,最終的には訴訟手続の可能性を開いておくことで,「訴訟・非訟2分論」による判例準則を満足させる一方,実際には多くの事件が非訟手続段階で解決されることになれば,非訟手続による処理のメリット(簡易迅速性,秘密保護性等)を享受することができるものといえ,極めて巧妙な立法テクニックと評価することが可能である。第4 ハイブリッド型手続の隆盛 第1章 訴訟と非訟34)なお,ハイブリッド型手続も,訴訟による再審査の可能性を開くことで,同様のセイフティネットとしての機能を有し得ると見られる。20 他方で,「訴訟・非訟2分論」の実質的相対化も始まっている。すなわち,個別事件の特性に応じたオーダーメイド的な手続を用意する余地,換言すれば非訟事件の多様化という現象である。上記2分論の下で,基本的には立法者にフリーハンドが与えられ,その手続の構成について立法者の踏み越えられない限界はないとすると(そして,そのような判例法理の変更が現実には困難であるとすると),次の主戦場は,立法プロセスにおける手続保障の確保という問題になろう。その結果,学説の関心は,立法過程においてセイフティネットとしての非訟手続自体の充実に向かうことになる(第5参照)。34) 以下では,そのそれぞれの論点について筆者の若干のコメントを付したい。──純然たる訴訟事件の非訟化のテクニック
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