講家上
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2 ハイブリッド型手続の歴史 ハイブリッド型形成の歴史として,広い意味での非訟手続(決定手続)をも含めれば,まず倒産法上の附随手続から制度が始まったといえる。35)具体的には,昭和13年の商法改正(同年法律第72号)による会社整理手続における役員責任査定手続が最初のものかと思われる。その後,会社更生法において,同様の制度を採用するとともにそれが否認請求手続に拡大され,更に倒産法抜本改正によって,それらが破産・民事再生にも拡大するとともに,倒産債権査定手続の創設がされた。現行倒産法では,以上のような三つの類型のハイブリッド型手続が各倒産手続に存在する形になっている。 さらに,近時の重要な展開としては,司法制度改革における労働審判の創設及びその成功がある。労働審判では,対象事件は純然たる訴訟事件であるが,調停による解決が模索され,その後労働審判がされる(ここまでが非訟手続となる)。その後,異議があれば審判が失効して訴訟手続による。その意味で,典型的なハイブリッド型手続である。そして,迅速性など大きなメリットが得られ,異議による訴訟移行事件の少なさから実質的非訟化の目的が達成され,36)利用者の満足度の高さが注目される。37) 以上のような労働審判制度の成功の結果,労働審判に準じた手続の隆盛がもたらされた。例えば,犯罪被害者による損害賠償命令手続(犯被保護23条21第4 ハイブリッド型手続の隆盛──純然たる訴訟事件の非訟化のテクニック 35)同様の手続として,督促手続もあるが,これは前段階で全く内容的審理をしないもので,ここでの問題関心からは異質である。また,訴訟+訴訟での同様の試みとして,手形小切手訴訟や少額訴訟などの簡易訴訟もあるが,これは非訟化の問題ではない。ただ,これらを含めた簡易手続の可能性については,山本和彦「民事訴訟法10年─その成果と課題」判タ1261号100頁(同『民事訴訟法の現代的課題』(有斐閣,2016年)72頁以下所収)参照。36)労働審判事件の概況については,最高裁判所事務総局『裁判の迅速化に係る検証に関する報告書平成27年7月』62頁以下参照。それによれば,事件数は,2009年以降3,300件から3,700件程度で推移し,68%の事件で調停が成立し,審判が確定したものや取下げ等でも手続外での和解等で解決したものを含めれば,8割前後の事件が非訟段階で解決しているものと推測されている。また,平均審理期間も79.5日であり,約3分の2の事件が3月以内に解決しており,訴訟に比して格段の迅速性を実現している。37)利用者調査とその分析に係る研究として,菅野和夫ほか編著『労働審判制度の利用者調査』(有斐閣,2013年)参照。

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